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「Google ブック検索」が凄すぎる

「Google ブック検索」が凄すぎる

2009.02.26

自分は新聞を取っていないので最初にITmediaのニュースで知ったときは「ふーん、Googleがまた新しいサービスを開始するんだ。いきなり書籍をネットに公開って、著作権とか大丈夫なの?問題になりそうだなぁ。」くらいしにしか感じなかったけれど、なんと既に日本語サービスを開始しているみたい。

想像以上に凄い性能の「Googleブック検索」

試しに使ってみるとこれは凄い…。本によってはほぼ全ページ見ることが出来るし図書館で本を借りるように無料で読むことが出来る。青空文庫以上です。
正直これが法的にOKならば(詳しくないので分りませんが)、youtube登場と同じ位インパクトがあるかも。
以下、ITmediaの記事から引用。

Googleブック検索(Google Book Search)は、Googleが書籍本文をデジタル化(スキャン)し、内容を検索できるようにしたサービス。日本語版の説明によると、現在700万冊以上の書籍の全文を検索できるという。

何が凄いかは調べてみると分ると思います。
例えば、このblogはWordPressで構成されているのですが、似たようなblogツールとして有名なMovableTypeを利用するに当たって知識を得たい!と思ったとしましょう。早速「movabletype html」検索してみます。
1ページ目TOPに出てきた「改訂新版 Movable Type標準ハンドブック 」を見てみます
なんと全部で300ページ近く内容を読むことが出来ます。amazonにある本の中身をチラっと覗き見するってレベルじゃないです。

更に凄いのが各ページの見出しにリンクが張られており、クリックするだけで該当ページにジャンプする事が出来ます。
これは画期的だと思います。普段専門書等を読んでいる時に気になる情報が何処にあるか分らなくなってしまいますが、クリックひとつで目的の情報に辿り付く事が出来ます。

090226
他にもPHP文庫岩波新書、一時期話題になった『ドアラの秘密』などなど…検索してみて色々な本の中身を読むことが出来ます。
しかも、ネットで検索するように本文の文字列を拾って検索までしてくれます。
もちろん最新の本、過去の本全てが並んでいるわけではありませんが、既に昨年発売の本は見ることが出来るようですし、権利関係がクリアになれば随時追加されていくでしょう。
本を購入するお金がない人、図書館に行く時間がない人には夢のようなサービスだと思います。

しかし、ここまで凄いサービスだと冒頭のように著作権とか法律関係は大丈夫なのかな?と気になる所。
ところが、アメリカでは既に和解に至っている様子です。

同サービスが著作権侵害に当たるとして、米国の著作者団体・米出版者協会(AAP)などは2005年にGoogleを提訴。Googleは著作権侵害を否定して争ったが、訴訟は昨年10月に和解に至った。米国裁判所は和解に関する公聴会を今年6月11日に開く予定で、7月以降、正式承認する見通しだ。

和解によってGoogleは、今年1月5日以前に出版された書籍のうち、米国で市販されていない絶版書籍について、商用利用が可能になる。具体的には(1)書籍をスキャンしてデータベース化する、(2)書籍データやアクセス権を販売する、(3)各ページに広告を表示する――といったことが可能だ。

Googleは、これで得た収益の63%を著作者に支払う。権利者への収益分配は、新たに設立する非営利団体「版権レジストリ」を通じて行う。Googleは版権レジストリの設立・運営費用として3450万ドル(約34億円)を負担する。

また、今年5月5日以前にGoogleが無断スキャンした全書籍の著作権者に、補償金として総額4500万ドル(約44億円)以上をGoogleが支払う。書籍本文(Googleは「主要作品」と呼んでいる)について、最低60ドルを権利者に支払うとしている。

Googleはこの和解により、「米国のユーザーが、何百万という絶版書籍を検索、閲覧、購入できるようになり、権利者も収入を得られる」とメリットを強調する。

収益の63%とは!何と凄い数字ですねぇ。
日本の場合も既にこの枠内に組み込まれているようで、それについての詳細な記事はITmediaや各新聞に掲載されているようです。
出版社からしたら雑誌・漫画・本が売れないと言われているこの時代に泣きっ面に蜂なような気もしますが、ある程度収益が確保出来るとなればこぞってGoogle側に参入してくるかもしれませんね。

一般人は「紙の本」を持つ必要がなくなる?

ここからは極論ですが、音楽で言えば既にレコード、CDと言うパッケージが売れなくなり、iTunesや着うた等のダウンロード販売が盛況ですが、同じように本の世界でもダウンロード販売と言う方式がある程度認知されてくると「本をわざわざお金を払って家に保管する」と言う行為が廃れてしまうかもしれませんね。
現時点ではブラウザから拡大した文字を長時間読むのは非常に疲れるので、ダウンロードしたデータを再生する便利なハードウェアの開発が急務だと思います。
過去に何度か登場した電子BOOKを読むPDAと言うのもイマイチ流行りませんでしたしね。
音楽データを聞くのもiPodと言う素晴らしいハードがあったからこそここまで一般に広まったといえますし。

ただし、音楽や映像のように「データ」だけでなく本の手触りや紙質、装飾も「本」を定義付ける大事な要素だと思うのでいきなりダウンロード販売がメインとなる事はないでしょう。
しかし、自分も含めて「出来るだけ部屋の中にモノを多く置きたくない」と言う考えの人達は一定層居ると思います。
今後、色んな作品を自由に読むことが出来るならば「あー、俺はネットで見るだけでいいや」と考える人が増えていくかもしれません。
もしもiPodのような革新的なハードウェアが登場して、権利関係もクリアになって世界中の書物がオンライン上で閲覧できるとなれば、SF作家アイザック・アシモフの『鋼鉄都市』であったような「一部の特権階級だけがモノを所持出来、その他多くの一般人はデータを膨大なライブラリから引っ張ってくるだけ」の世界がいずれ到来するのでしょうか?

出版社、既存の本愛好者にはたまったもんじゃない話かもしれませんが、少なくとも自分にとってはとても革新的に感じました。
既に絶版になった本は書店でも手に入りませんし、燃えるとなくなってしまう脆い紙媒体なので、バックアップの面でも電子化は急務のはずです。(国でなく1民間企業が行うと言うのに若干の抵抗はありますが…)
ビジネス的、法律的、社会的に成功するかはともかく面白い試みだと思います。
とりあえず、またもやGoogleが波風を立てたということで今後の展開に期待です。

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